家族信託と任意後見、どちらを選ぶべき？西宮市で考える“老後の安心”のかたち

「親の認知症に備えて何か対策をしておきたい」「将来、自分の財産管理が不安になった時に備えたい」——そんな想いを持たれる方が、西宮市でも年々増えてきています。人生100年時代と言われるいま、判断能力の低下に備えた制度として注目されているのが、「家族信託」と「任意後見」です。

いずれも、大切な財産を守るための仕組みですが、それぞれの制度には明確な違いがあり、家族構成や本人の希望、財産の種類によって、選ぶべき制度も変わってきます。本記事では、「家族信託」と「任意後見」の主な違いと使い分けのポイントを、できるだけわかりやすくご紹介します。

家族信託は、公的機関の監督を受けずに、契約によって自由に財産の管理・処分を委託できる仕組みです。信頼できる家族に託すことにより、本人の意思が明確なうちに、財産の管理方針や承継方法などを具体的に決めておけます。

さらに、家族信託の大きな利点は、資産運用や不動産の売却といった、より柔軟で積極的な管理・処分が可能になる点です。これは、後見制度では認められない部分です。たとえば、「空き家となった実家を売却して、施設費用に充てたい」といった希望がある場合、家族信託の方が適しているケースが多いです。

西宮市のように、不動産資産を保有する高齢者が多い地域では、こうした柔軟な資産管理のニーズは今後ますます高まるでしょう。

任意後見制度では、本人が元気なうちに信頼できる人と契約を交わし、将来判断能力が低下したときに、その人に法律行為や財産管理、さらには生活面のサポート（身上監護）をお願いすることができます。

この「身上監護権」は、家族信託では持つことができません。具体的には、病院の入退院や施設入所の手続き、介護サービスの契約などを、任意後見人が代わりに行うことができます。家族内で介護方針にズレがある場合や、本人の生活全体を法律的に守る必要がある場合には、任意後見が心強い選択肢となるでしょう。

任意後見制度には、法律専門職による「任意後見監督人」が必ず就任します。これは制度の信頼性を担保する仕組みで、一定のルールのもとで厳格に財産管理が行われることを意味します。しかしその一方で、監督人への報酬が月額1〜2万円程度発生するため、長期にわたると相応のランニングコストが必要になります。

反対に家族信託は、設計次第で運用開始後にコストをかけずに済む場合もあります。契約時の初期費用（公証役場の手数料や登記費用、専門家への報酬など）はかかるものの、その後の継続的な費用を最小限に抑えることも可能です。

このように、経済的な面でも両者には明確な違いがあります。費用面を重視する場合には、長期的な視点でトータルコストを比較検討することが大切です。

「家族信託」と「任意後見」、どちらの制度が最適かは一概には言えません。ご本人の健康状態や価値観、ご家族の関係性、さらには所有している財産の種類や将来的な目標によって、最適解は異なります。

たとえば、「家族の関係が良好で、自宅を将来売却したい」と考えている方は家族信託が有力ですし、「介護施設の契約など、生活面までしっかり任せたい」という方には任意後見が安心です。

どちらを選んだとしても、大切なのは「元気なうちに準備を始めること」です。判断能力が衰えてからでは、こうした制度を利用することが難しくなるため、早めのご相談が肝心です。

シアエスト司法書士・行政書士事務所では、西宮市を中心に、家族信託や任意後見制度のご相談を数多く承っております。高齢のご両親のため、あるいはご自身の備えとして、一人ひとりの状況に応じた最適な制度設計をご提案いたします。

複雑な制度であっても、丁寧にご説明し、安心して一歩を踏み出していただけるよう、全力でサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。