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官報が電子化されるって本当?2025年4月から始まる新制度と実務のポイント

こんにちは、司法書士・行政書士の今井康介です。
今日は2025年4月1日からスタートする「官報の電子化」について、できるだけわかりやすくご説明したいと思います。

官報(かんぽう)ってなに?

まず、「官報って何?」という方もいらっしゃると思います。

官報とは、国が法律や政令、会社の公告(こうこく)などを国民に知らせるために発行している“お知らせの新聞”のようなものです。

たとえば会社を設立したときの「解散」や「合併」などの情報、相続放棄の公告なども官報に載ります。
司法書士の仕事では、会社の登記や法人手続きなどで、この「官報に載せたこと」を証明するための紙を使うことがよくあります。

これまでの官報は「紙」だった

これまでは、官報は紙で印刷されていて、たとえば「この会社は清算しますよ」といった大切なお知らせが、紙に印刷されて販売されていました。

司法書士としては、その紙を添付して法務局に提出し、「ちゃんと公告しました」と証明していました。

いよいよ官報が“完全に電子化”されます

今回、大きな制度変更が行われるのは2025年4月1日。

この日から、「官報法(正式には『官報の発行に関する法律』)」が施行され、官報が完全に電子化されることになりました。

これまでも一部の内容はネットで見られましたが、今後は原則「電子版だけ」が公式なものになります。

何がどう変わるの?

● これまで

  • 紙の官報を購入・入手して使っていた

  • 登記申請に「紙の官報をコピーしたもの」を添付していた

● これから

  • 内閣府の「官報発行サイト」にある電子データが公式の官報

  • 登記申請では、そのPDFなどの電子データを添付することでOK

  • 電子データには「電子署名」が付いていて、偽造や改ざんができないようになっている

一般の方に影響はあるの?

基本的には、司法書士や行政書士など、官報を日常的に扱っている専門職の業務が中心ですので、一般の方が直接困ることはあまりありません。

ただし、次のような場面では少し関わりがあります。

◯ 株式会社の「決算公告」を出すとき

株式会社は、毎年の決算内容を公告する義務があります。多くの企業が官報を使ってこの「決算公告」を行っており、電子化により、今後は電子版官報での掲載と証明が基本になります。

◯ 合同会社・株式会社などの「解散・清算結了」の公告

会社を閉じる際には、解散や清算結了の公告が官報に必要です。中小企業経営者の方や、親族の会社の手続きに関わるケースで登場します。

ネット環境がない人はどうするの?

心配な方もいらっしゃるかもしれません。

今回の制度変更では、インターネットが使えない人に配慮して、紙の形式での提供も残されます。

電子版官報と同じ内容を印刷した「官報掲載事項記載書面」を、希望すれば提供してもらえる仕組みが用意されています。ご高齢の方やネットが使えない方でも安心です。

司法書士の立場から見た注意点

司法書士として、今回の制度変更で大切になるのは「電子データの取り扱い」です。

電子官報には電子署名がついていて、正しく検証できることが求められます。また、登記申請でもPDFデータの添付が中心になるため、デジタル対応力が必要になります。

紙の時代と比べて、「誰でも無料で見られる」「すぐにダウンロードできる」という点で便利になりましたが、一方で「どのデータが本物か」をしっかり見極める知識も求められます。

まとめ:時代に合わせた柔軟な対応を

官報の電子化は、国全体の「デジタル化」の一環として行われるものです。
司法書士としても、これからの時代に合わせて柔軟に対応していくことが必要です。

一般の方にとってはあまり大きな影響はありませんが、会社手続きや相続などで関わる場面もあるため、気になる方はぜひお近くの司法書士にご相談ください。

【参考リンク(すべて公的機関)】


もし「会社をたたむ予定がある」「公告って何をすればいいの?」などの疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。
シアエスト司法書士・行政書士事務所では、時代の変化に応じた対応も丁寧にサポートいたします。

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