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空き家の相続と遺産分割【売却を検討する際の重要なポイント】

相続をきっかけに空き家が増加する背景には、複雑な社会的要因が絡み合っています。まず、日本の人口減少と都市部への人口集中が大きな影響を与えています。特に若年層の地方離れが顕著で、親世代だけが地方に残される傾向が強まっています。

このような状況下で親が亡くなると、都市部に住む子供たちは相続した実家の処分に直面します。しかし、地方の不動産市場は低迷しており、売却や賃貸が困難な状況です。国土交通省の調査によると、2023年10月時点で全国の空き家率は13.8%に達し、約899万戸もの空き家が存在しています。

地方の不動産は「負動産」と呼ばれることもあり、維持費や固定資産税などの負担が重くのしかかります。例えば、年間の固定資産税が10万円かかる物件を20年間所有すると、200万円もの支出となります。このような経済的負担を避けるため、相続人は空き家をそのまま放置してしまうケースが少なくありません。

また、相続手続きの複雑さも空き家問題を助長しています。相続人が複数いる場合、意見の相違や連絡の取りづらさから、不動産の処分が進まないことがあります。さらに、遺産分割協議が難航すると、空き家状態が長期化する可能性が高まります。

相続税の問題も見逃せません。2015年の相続税法改正により、基礎控除額が引き下げられ、相続税の課税対象者が増加しました。相続税を支払うために不動産を売却したいが、買い手が見つからず空き家となるケースも珍しくありません。

解決策として、空き家バンクの活用や空き家の利活用促進など、自治体による取り組みが進められています。例えば、長野県飯山市では空き家バンク制度を導入し、令和3年度には34件の成約実績を上げています。

また、相続人自身も早めの対策が重要です。親が健在なうちに将来の不動産の扱いについて話し合い、生前贈与や遺言書の作成を検討することで、相続後の空き家化を防ぐことができます。

相続をきっかけとした空き家問題は、人口動態の変化、不動産市場の低迷、相続制度の複雑さなど、多岐にわたる要因が絡み合って生じています。この問題の解決には、行政、地域社会、そして個人レベルでの総合的な取り組みが不可欠です。

法定相続分での遺産分割には要注意

相続登記では、通常、相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産を取得する相続人の単独所有として登記申請を行います。しかし、遺産分割がまとまらず、法定相続分で共有状態のまま相続登記するケースも少なくありません。法定相続分での登記自体は違法ではありませんが、不動産を売却・処分するのが難しくなるというデメリットがあります。

なぜなら、法定相続分では各相続人がそれぞれ持分を持つため、売却には共有者全員の同意が必要となるからです。全員の同意を得るのは容易ではなく、一部の相続人が反対すれば売却は事実上不可能になります。

「とりあえず」という安易な気持ちで法定相続分による登記をしてしまうと、後々、大きな負担を抱え込むことになりかねません。共有状態の不動産は、次の世代、またその次の世代へと持分が引き継がれていく可能性もあります。疎遠になった相続人が増えるほど、共有者全員の同意を得るのは困難になり、不動産の処分はますます難航します。

例えば、更地にして売却する場合や、建物を建築する場合でも共有者全員の同意が必要となり、将来にわたって大きなリスクを抱えることになります。遺産分割協議が難しい場合でも、将来のリスクを考慮し、専門家である司法書士や弁護士に相談するなどして、慎重に進めるようにしましょう。

数代前の先祖名義の不動産

不動産を所有する方が亡くなると、その所有権は相続人に移り、名義変更(相続登記)をするのが一般的です。しかし、昔は司法書士に依頼したり、法務局へ登記申請したりすることが容易ではありませんでした。そのため、何世代にもわたって先祖代々、亡くなった方の名義のまま不動産が引き継がれているケースが少なくありません。

例えば、江戸時代から続く土地があるとします。その間、一度も名義変更が行われていない場合、相続人が数十人、場合によっては数百人にまで膨れ上がってしまう可能性があります。こうなると、誰がどの程度の土地の権利を持っているのか、誰が相続人なのかを特定すること自体が困難になります。

このような状況では、相続人全員の同意を得て遺産分割協議をし、相続登記を行うことは事実上不可能と言えます。仮に売却しようとしても、所有権が明確でないため、買い手が見つからない、あるいは極端に安い価格での売却を強いられる可能性があります。

このように、先祖代々の土地や家屋の名義変更がされてこなかった場合、様々な問題が発生する可能性があります。遺産分割や売却が困難になるだけでなく、不動産の管理責任も曖昧になり、共有者間でトラブルが発生するリスクも高まります。

不動産が相続トラブルの原因になることも

相続によって不動産を取得したものの、権利関係の複雑さから売却が困難になり、結果として空き家になってしまうケースは少なくありません。

例えば、東京都内の一等地にあるにも関わらず、相続を原因として空き家のまま放置されている不動産も存在します。このような不動産は、資産価値が高いにも関わらず、有効活用されないまま放置されてしまうため、社会経済的な損失を生み出してしまう可能性があります。

共有者間の合意形成が難しいケースや、相続人の一部と連絡が取れないケースなど、相続不動産の売却を阻む要因は様々です。また、中には、権利関係が複雑すぎて、誰が不動産の所有権を持っているのか、売却する権利があるのかを特定すること自体が難しい場合もあります。

このような事態を避けるためには、生前に適切な対策を講じておくことが重要です。遺言書の作成や家族間での話し合いを通じて、相続不動産の取り扱いについて事前に決めておくことで、相続後のトラブルを予防することができます。

資産価値の高い不動産を空き家のまま放置することは、経済的な損失だけでなく、景観の悪化や犯罪の発生リスクを高めるなど、様々な問題を引き起こす可能性があります。相続によって不動産を取得した際は、専門家へ相談するなどして、適切な対応をとることが重要です。

空き家の放置はリスクあり

親の思い出が詰まった家、生まれ育った家を手放すのは、確かに勇気がいることです。 「気持ちの整理がつくまで」「もう少しこのままにしておきたい」そう思う気持ちも理解できます。 しかし、放置することによって、あなただけでなく、周囲にまで様々な影響が及ぶことを知っておく必要があります。

例えば、庭木の手入れを怠れば、害虫が発生し、近隣の家々にまで被害が拡大するかもしれません。 また、適切な管理がされていない家は、火災のリスクも高まります。 もし火災が発生した場合、隣家への延焼、さらには人命に関わる事態に発展する可能性も否定できません。

近年、空き家を標的にした犯罪も増加しています。 不法侵入はもちろんのこと、オレオレ詐欺の拠点として利用されるケースも報告されています。 空き家は、犯罪者にとって格好の隠れ家となってしまうのです。

また、放置された空き家は景観を損ねるだけでなく、地域の経済活動にも悪影響を及ぼします。 利用可能な土地や建物が有効活用されないことは、社会全体にとって大きな損失と言えるでしょう。

「売却できる空き家」を所有しているのであれば、それは単なる不動産ではなく、社会の一員としての責任を伴うことを自覚する必要があると言えるでしょう。 次の世代に繋ぐためにも、そして地域社会に貢献するためにも、空き家の売却を前向きに検討してみてはいかがでしょうか?

空き家不動産のご相談はシアエストへ

相続は、人生における大きな転換期であり、慣れない手続きや複雑な法律問題に直面することも少なくありません。特に、相続財産に不動産が含まれている場合は、遺産分割協議の方法や相続税の負担などを慎重に検討する必要があります。

例えば、相続人の中に不動産を現金化したいと考えている人がいる一方で、他の相続人がそのまま住み続けたいと考えている場合、遺産分割協議が難航することが予想されます。このようなケースでは、不動産を売却して現金化した上で、相続人で分割する方法が有効です。これを「換価分割」と言います。

また、相続不動産を売却する際には、通常の不動産売却とは異なる手続きや税金に関する知識が必要となります。例えば、相続登記が完了していない不動産を売却する場合には、所有権を明確にするための手続きが必要となります。また、相続不動産の売却には、譲渡所得税や登録免許税などの税金が発生します。

当事務所では、相続に精通した司法書士が、遺産分割協議の段階から不動産売却の完了まで、お客様一人ひとりの状況に合わせて、丁寧にサポートいたします。相続不動産の処分でお悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

 

 

 

 

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