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民生委員について分かりやすく解説|仕事や任期・報酬など

その他業務

民生委員制度は、平成29年に制度発足100周年を迎えた、長い歴史をもつ仕組み。

民生委員は地域に根付いた活動を行っており、私たち市民のサポートをしてくれる存在です。

 

全国では約23万人が民生委員として活動しており、弊所が事務所をおく西宮市でも、678人(平成29年9月1日現在)の方が活動されています。

 

しかし、民生委員がどういう仕事をしているかご存知の方は多くありません。

今回は、民生委員の仕事や任期・報酬などについて、できるだけ分かりやすく解説します。

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民生委員になるためには

民生委員になるためには、民生委員推薦会という組織や、都道府県知事から推薦を受けなければなりません。

参考までに該当の条文を挙げておきます。(読み飛ばしていただいても大丈夫です)

民生委員法第6条 民生委員推薦会が、民生委員を推薦するに当つては、当該市町村の議会(特別区の議会を含む。以下同じ。)の議員の選挙権を有する者のうち、人格識見高く、広く社会の実情に通じ、且つ、社会福祉の増進に熱意のある者であつて児童福祉法(昭和22年法律第164号)の児童委員としても、適当である者について、これを行わなければならない。
2 都道府県知事及び民生委員推薦会は、民生委員の推薦を行うに当たつては、当該推薦に係る者のうちから児童福祉法の主任児童委員として指名されるべき者を明示しなければならない。
民生委員法第8条 民生委員推薦会は、委員若干人でこれを組織する。
2 委員は、当該市町村の区域の実情に通ずる者であつて、次の各号に掲げるもののうちから、それぞれ2人以内を市町村長が委嘱する。
一 市町村の議会の議員
二 民生委員
三 社会福祉事業の実施に関係のある者
四 市町村の区域を単位とする社会福祉関係団体の代表者
五 教育に関係のある者
六 関係行政機関の職員
七 学識経験のある者

民生委員に推薦される人の条件は、「人格識見高く、広く社会の実情に通じ、且つ、社会福祉の増進に熱意のある者」。

 

推薦会等から推薦された後、民生委員候補者は、厚生労働大臣から委嘱を受けて民生委員となります。

(※委嘱(いしょく)・・・特定の仕事を一定期間、他の人に任せること)

 

民生委員の立場は、特別職の地方公務員(非常勤)です。

そのため、民生委員には誰でも簡単になれるわけではありません。

民生委員の仕事や役割とは?

民生委員は、社会奉仕の精神を持って社会福祉の増進に努める義務を負います。

民生委員法第2条 民生委員は、常に、人格識見の向上と、その職務を行う上に必要な知識及び技術の修得に努めなければならない。
民生委員法第14条 民生委員の職務は、次のとおりとする。

  1. 住民の生活状態を必要に応じ適切に把握しておくこと。
  2. 援助を必要とする者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように生活に関する相談に応じ、助言その他の援助を行うこと。
  3. 援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うこと。
  4. 社会福祉を目的とする事業を経営する者又は社会福祉に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業又は活動を支援すること。
  5. 社会福祉法に定める福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)その他の関係行政機関の業務に協力すること。

上記の職務内容でもお分かりのとおり、民生委員は、地域社会の見守り役とも言える存在です。

 

地域市民からの相談には「子育て・いじめ・介護・障がい者の生活支援・暮らし・健康」などがあります。

西宮市でも、児童虐待防止の普及啓発や、高齢者の見守り活動などが民生委員により行われています。

民生委員の解嘱(解任)とは?

民生委員には守秘義務が課されており、相談内容を他人に伝えることは禁止されています。

人種や宗教などによって差別的な言動を取ることも認められません。

民生委員法第15条 民生委員は、その職務を遂行するに当つては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守り、人種、信条、性別、社会的身分又は門地によつて、差別的又は優先的な取扱をすることなく、且つ、その処理は、実情に即して合理的にこれを行わなければならない。

 

民生委員の地位を、政党又は政治的目的のために利用することも厳禁です。(民生委員法第16条)

民生委員法第16条 民生委員は、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。
2 前項の規定に違反した民生委員は、第十一条及び第十二条の規定に従い解嘱せられるものとする。

そのため、民生委員が営業や勧誘目的で地域住民と接することはありません。

もし民生委員から勧誘行為を受けた場合などは、市役所に相談するといいでしょう。

 

なお、民生委員が第三者に秘密を漏らしたり、非行・職務怠慢があった場合は民生委員の解嘱(解任)理由となります。(民生委員法第11条)

民生委員法第11条 民生委員が左の各号の一に該当する場合においては、厚生労働大臣は、前条の規定にかかわらず、都道府県知事の具申に基いて、これを解嘱することができる。

一 職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合
二 職務を怠り、又は職務上の義務に違反した場合
三 民生委員たるにふさわしくない非行のあつた場合
2 都道府県知事が前項の具申をするに当たつては、地方社会福祉審議会の同意を経なければならない。

民生委員の任期や報酬は?

民生委員の任期は原則3年です。

ただし、任期満了時に民生委員の交代相手がいないなどの場合は、同じ人が再任されることもあります。

 

また、民生委員の定年は国の通知で「75歳未満の者を選任するよう努めること」と規定されていますが、

人手不足から75歳以上の方が民生委員に選任されることも多いのが現実です。

 

なお、報酬や給与にあたる金員は、民生委員に支給されることはありません。

民生委員法第10条 民生委員には、給与を支給しないものとし、その任期は、三年とする。ただし、補欠の民生委員の任期は、前任者の残任期間とする。

 

報酬や給与の代わりとして、民生委員には活動費が支給されますが、一般的な活動費の金額は年額10万円未満と言われます。

 

民生委員の仕事には、労力や時間がかかるものも多々あります。

そのため、金銭的対価でなく、社会奉仕を目的にしなければ民生委員の職務を全うするのは困難でしょう。

 

日頃から地域住民のために活動されている民生委員の方々には、心から敬意を表します。

民生委員についてまとめ

以上、民生委員について選任方法や仕事内容などについて解説しました。

 

現代は、地域コミュニティが衰退していることや個人情報保護法等の影響もあり、民生委員の活動が理解されにくい状況にあります。

しかし、民生委員の存在を知っているだけでも、いざという時には安心です。

 

悩みを誰に相談していいか分からない場合は、地域の民生委員に相談してみてはいかがでしょうか。

 

民生委員がどこにいるかは、お住まいの市区町村に問い合わせて確認することができます。

弊所も微力ではありますが、民生委員のように、困っている方の力になれるよう努めます。

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