株式会社の登記は、手続をすべき時から2週間以内に申請するのが原則。
会社にとって登記は面倒な手続ですが、もし必要な登記手続を放置していた場合、
様々な不利益をこうむる可能性があります。
最も大きな不利益は、会社が休眠会社とみなされて、登記官によりみなし解散の登記がされる点。
今回は、株式会社の登記を放置していた場合の過料や、休眠会社のみなし解散について解説します。
役員や会社目的等に変更があったら登記が必要
株式会社の役員や会社目的等に変更があった場合、管轄の法務局に対して登記を申請しなければなりません。
法務局への登記申請は、ご自身で行うことも可能ですが、司法書士に依頼することが一般的です。
株式会社の変更登記を怠った場合、まず発生するのが、過料(かりょう)の問題。
過料は法律上100万円以下と定められており、登記懈怠の内容によって金額は異なります。(会社法第976条)
過料の相場は公にされていないため分かりませんが、数万円~10万円あたりの金額が多いようです。
なお、過料の通知は株式会社にではなく、代表取締役等の自宅に直接送付されます。
過料決定通知書の送付元は裁判所ですので、思わぬ裁判所からの書類に慌てるかもしれません。
補足として、過料は罰金や科料のような刑罰ではなく、一種の行政罰。
そのため、過料の制裁を受けたからといって、会社代表者に前科がつくことはないためご安心ください。
過料の通知が届いた場合は、速やかに納付することが大切です。
休眠会社のみなし解散とは?
休眠会社とは、「会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過している株式会社」を指します。
なお、休眠会社に特例有限会社は含まれません。
(※特例有限会社・・・平成18年5月1日の会社法施行以前に有限会社であった会社で、現在も商号中に有限会社とあるもの)
株式を非公開している株式会社でも、役員任期は最大10年。
つまり、株式会社は少なくとも10年に1回は登記手続をする必要があります。
そのため、12年間登記手続がされていない株式会社は、活動していない会社(休眠会社)として扱われるわけです。
なお、12年間に、法務局で登記事項証明書や印鑑証明書の交付を受けていても関係ありません。
あくまでも役員変更等の登記がされているかどうかが判断基準です。
そして、休眠会社に対しては、法務大臣による公告及び登記所からの通知がなされます。
この公告から2か月以内に「役員変更等の登記」もしくは「事業を廃止していない旨の届出」がされない場合、登記官が職権でみなし解散の登記をします。
みなし解散の登記がされると、会社はそのままでは事業活動ができません。
事業を続けたい場合、みなし解散後3年以内に会社継続の決議をすることで、株式会社を継続させることができます。(会社法第第473条)
なお、継続の決議がみなし解散から3年以内にされている限り、継続の登記申請はみなし解散から3年経過後も可能と考えられます。
しかし、このようなケースは珍しいでしょう。
登記懈怠の過料と休眠会社のみなし解散まとめ
株式会社の変更登記を放置すると、登記懈怠の過料だけではなく、休眠会社のみなし解散の問題が発生します。
それ以外にも、取引先からの信用低下や、余分な費用が発生することが考えられます。
法人で許認可を取っている場合などは、みなし解散により事業の停止を余儀なくされるかもしれません。
どのケースで変更登記が必要となるかは、社内で正確に把握しておかれることをお勧めします。
西宮の司法書士・行政書士今井法務事務所では、会社設立から会社継続の登記まで、登記全般を取り扱っております。
ご相談はお電話又はメールフォームにて承っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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参考条文
会社法第472条(休眠会社のみなし解散)
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会社法第473条(株式会社の継続) 株式会社は、第471条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合(前条第1項の規定により解散したものとみなされた場合を含む。)には、次章の規定による清算が結了するまで(同項の規定により解散したものとみなされた場合にあっては、解散したものとみなされた後三年以内に限る。)、株主総会の決議によって、株式会社を継続することができる。 |
会社法第915条(変更の登記)
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会社法第930条(支店の所在地における登記)
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