【西宮市の皆さまへ】信託銀行の「遺言信託サービス」を利用する前に知っておきたい３つの注意点
人生の最終章を見据えた準備として「遺言」を残すことの重要性は広く知られています。その中でも、最近注目されているのが、信託銀行が提供する「遺言信託サービス」です。
これは、遺言書の作成から保管、そして相続発生後の遺言執行までを一括して依頼できるサービスであり、西宮市でもご相談が増えている分野です。
信頼感のある金融機関が手がけるという点で、多くの方が安心感を持って利用される一方、実はこのサービスにはいくつかの“注意点”もあります。内容をしっかり理解しないまま契約してしまうと、後々トラブルや誤解を招く可能性も否定できません。
今回は、遺言信託サービスをご検討中の方に向けて、特に重要な注意点を３つ取り上げ、わかりやすく解説いたします。
１．家族関係が円満でないと、金融機関が遺言執行を辞退する可能性がある
「信託銀行に頼めば安心」と考える方は多いですが、実は、相続が発生した際に金融機関が遺言執行者に就任するためには、相続人全員の承諾が必要とされるケースがあります。
これは、金融機関の内部ルールによるもので、法定相続人間で対立や不信感があるような場合、信託銀行側が遺言執行を断ることもあるのです。
これは特に西宮市のような都市部に多い「複数世帯・別居家族」のような家族形態では見過ごせないリスクです。せっかく高額な費用をかけて遺言信託を契約したのに、いざというときに実行されないとなれば、故人の“遺志”は果たされません。
こうした事情が想定されるご家庭では、はじめから司法書士や弁護士といった法律専門職を遺言執行者に指定しておく方法が、より確実でトラブルの少ない選択肢と言えるでしょう。
２．総費用が想定以上に高額になることがある
遺言信託サービスの費用構成は、主に以下の3つです：
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遺言書の作成費用（数十万～100万円程度）
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遺言書の保管費用（年数千円～数万円）
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遺言執行報酬（最低でも100万円〜）
これらを合算すると、トータルで数百万円に及ぶこともあり、ご家族にとっては予想外の経済的負担になる可能性があります。
一方、司法書士などの専門職に遺言書作成を依頼する場合、作成報酬の相場は10〜20万円程度とされており、費用を抑えつつ専門的なサポートを受けることができます。
遺言執行時の報酬についても、金融機関に比べてリーズナブルであることが多く、コストパフォーマンスの観点からも一度比較してみる価値は大いにあります。
「自分の想いをしっかりと伝えるために遺言を残したいけれど、家族にはなるべく経済的な負担をかけたくない」と考える方にとって、これは重要な判断材料になるでしょう。
３．遺留分に関する柔軟な対応が難しいことがある
金融機関では、経営リスク回避の観点から、「遺留分」を侵害するような内容の遺言書の作成をサポートできない場合があります。そのため、たとえ法的には有効な内容でも、「その内容の遺言書はお作りできません」と断られるケースも見受けられます。
この結果として、遺言者が本当に伝えたかった想いが反映されず、形式的に「遺留分通り」の遺言書を作らされることにもなりかねません。実際、西宮市内でも「本当は一部の子に多く遺したかったが、銀行に止められた」という声が寄せられています。
その点、司法書士や弁護士などの法律専門職は、遺留分侵害のリスクを説明した上で、あえて遺留分を侵害する内容の遺言書を作成することも可能です。また、その際には「遺留分対策」として、紛争予防の提案を含めた柔軟な対応ができます。
◆ 司法書士に依頼するメリットとは？―実務的・心理的に大きな安心を提供
信託銀行と比較した際、司法書士に遺言書の作成や執行を依頼することには、以下のようなメリットがあります。これらは単なる費用面だけでなく、法的対応力やご家族への心理的な影響まで含め、総合的に見て非常に大きな利点といえます。
① 柔軟かつ個別的な対応が可能
司法書士は一人ひとりのご事情を丁寧に聞き取り、それぞれに適した内容で遺言書を設計します。たとえば、家族構成が複雑な場合や、特定の相続人に多く遺したいというご希望、事業承継を含むような特殊なケースにも柔軟に対応可能です。
信託銀行では定型的なフォーマットに沿った対応となることが多いため、個別具体的なご希望がある方には司法書士のサポートがより適しています。
② 相続発生後も家族をサポート
司法書士は単に書類作成をするだけでなく、相続発生後に遺言執行者として、相続手続き全体をリードします。たとえば、不動産の名義変更や預貯金の解約、相続人間の調整、税理士や弁護士との連携も含めた「窓口的役割」を果たすことが可能です。
また、遺言執行中に発生しうるトラブル（例：相続人間の意思疎通の困難や誤解など）にも、第三者として中立的に関わり、落ち着いた対応ができることも大きなメリットです。
③ 生前対策の一環としてトータルで相談できる
司法書士に相談することで、遺言書の作成にとどまらず、家族信託・任意後見制度・死後事務委任契約などを含めた「老後・相続の総合設計」が可能です。
「今後の財産管理はどうするか」「もし認知症になったら」「死後の手続きは誰がやるのか」といった不安を一つずつ整理して、具体的な解決策を立てることができます。西宮市の地域包括ケアに関わる福祉機関との連携も視野に入れた提案ができる点も、地元に根ざした司法書士ならではの強みです。
④ コミュニケーションのしやすさ
大手の金融機関では、担当者が異動や退職で変わってしまうこともありますが、司法書士は基本的に長期的に同じ担当者が継続して関与するため、関係性を築きやすく、家族も相談しやすい環境が整っています。
遺言執行時にはご遺族が心理的にも不安定な時期であるため、信頼関係のある専門家が寄り添ってくれる存在であることは、想像以上に大きな安心感をもたらします。
これらの点を踏まえると、「コストだけでなく、想いを正確に遺すこと」「家族が安心して次の一歩を踏み出せること」を重視する方には、司法書士への依頼が非常に有益な選択肢となります。
まとめ：西宮市で“本当に安心できる遺言”を残すには？
信託銀行の遺言信託サービスは、制度として整っており非常に便利ではありますが、上記のような注意点を理解せずに契約してしまうと、ご本人やご家族にとって望ましくない結果になることもあります。
西宮市で相続や遺言についてお考えの方は、ぜひ一度、実務に精通した司法書士にご相談ください。当事務所では、遺言書の作成から執行まで、実情に応じたサポートをご提供し、安心して老後を迎えられるようお手伝いいたします。
「遺言を残しておきたいけれど、何から始めればいいのかわからない」そんな方も、まずはお気軽にお話しください。あなたとご家族の未来のために、最適な方法を一緒に考えましょう。
