日本のビジネスや行政手続きにおいて、印鑑は個人や法人の意思表示や承認を示す重要な役割を果たしています。
しかし、印鑑の種類や使用場所によって、その適用性や信頼性が異なることをご存知でしょうか。特に、シャチハタと呼ばれる浸透印は、その利便性から広く使用されていますが、公的書類や重要な契約書では使用が制限される場合があります。
本記事では、シャチハタの認印が公的書類や重要な契約書で認められない主な理由と、その背景について詳しく解説します。
1. シャチハタとは
シャチハタは、インクを内蔵したスタンプ式の印鑑で、朱肉を使わずに手軽に押印できることから、日常生活やビジネスシーンで広く利用されています。
正式には「浸透印」と呼ばれますが、主要メーカーであるシヤチハタ株式会社の製品名が一般名称として定着しています。
その手軽さから、宅配便の受け取りや社内文書の確認印など、頻繁に押印が必要な場面で重宝されています。
しかし、その利便性ゆえに、公的書類や重要な契約書では使用が制限される場合があります。
2. 公的書類や重要な契約書でシャチハタが認められない理由
シャチハタの利便性にもかかわらず、公的書類や重要な契約書での使用が制限される主な理由は以下の通りです。
(1) 同一印影の大量生産によるリスク
シャチハタは大量生産されており、同じ苗字であれば全く同じ印影の印鑑が複数存在します。これにより、同姓の他人と印影が一致し、混同や悪用のリスクが高まります。
公的書類や重要な契約書では、個人や法人の唯一性を証明するため、唯一無二の印影を持つ正式な認印が求められます。
(2) ゴム製印面による印影の歪み
シャチハタの印面はゴム製であり、押す力加減によって印影が歪む可能性があります。
特に、公的書類や契約書では、明瞭で正確な印影が求められるため、印影が変化しやすいシャチハタは適していません。
(3) 経年劣化による印影の変化
シャチハタの印面はゴム製のため、長期間の使用によって摩耗や変形が生じる可能性があります。さらに、インクがにじんだり、薄くなったりすることで、印影の一貫性が保たれなくなることもあります。
公的書類や重要な契約書では、長期にわたって保管されることが前提となるため、印影が変化しやすいシャチハタの使用は推奨されません。
3. 当事務所でもシャチハタ式以外の認印を推奨
当事務所においても、依頼者の方に認印をお願いするケースはございますが、できる限りシャチハタ式以外の印鑑を使用していただくようお願いしております。
これは、後々のトラブルを防ぎ、正式な書類としての信頼性を確保するためです。
例えば、登記申請や相続関係の手続きなど、法的な効力を持つ書類では、印鑑の真正性が重要視されます。したがって、正式な認印(又は実印)を使用することが望ましく、シャチハタのようなゴム製の浸透印ではなく、朱肉を使用する印鑑の使用を推奨しています。
4. まとめ
シャチハタは、日常的な使用には非常に便利な印鑑ですが、公的書類や重要な契約書では適さないケースが多いことを理解しておくことが重要です。
シャチハタが認められない主な理由として、以下の3点が挙げられます。
- 同一印影が大量生産されるため、真正性の保証が難しい
- ゴム製の印面が押印時の力加減で歪みやすい
- 経年劣化による印影の変化が生じる可能性がある
当事務所でも、依頼者の方に認印をお願いすることがありますが、できる限りシャチハタ式以外の印鑑を使用するようお願いしています。
重要な手続きを安心して進めるためにも、適切な印鑑を選び、信頼性の高い手続きを行うことをおすすめします。