PR

遺産分割で重要な代表相続人の決め方とは?相続手続きの流れを詳しく解説

スポンサーリンク

代表相続人とは?

代表相続人とは、亡くなった方の預貯金の払い戻しや相続税の納税などの手続きにおいて、窓口となって対応する人のことを指します。これは、民法で定められた法律上の地位ではなく、あくまでも相続手続きをスムーズに行うための実務上の取り決めです。そのため、相続人全体の意見がまとまれば、必ずしも代表相続人を立てる必要はありません。

代表相続人は、相続人の中から選任されます。一般的には、配偶者や長男・長女など、故人と関係の深かった人が選ばれることが多いですが、誰がなるかについては特に決まりはありません。また、相続手続きの全てを一人に任せることも、手続きごとに担当を分担することも可能です。

代表相続人を決めておくことで、金融機関や税務署などとのやり取りが一本化され、手続きがスムーズかつ効率的に進むというメリットがあります。逆に、代表相続人を決めずに相続手続きを進めると、窓口が複数になってしまい、連絡が滞ったり、手続きが遅延したりする可能性も考えられます。

金融機関での預貯金払い戻し

亡くなった方の預金は、原則として相続人全員で手続きをしなければなりません。しかし、相続人全員が揃って銀行に出向くのは大変な場合も多いでしょう。このような場合、通常は相続人のうち誰か一人を代表者として選び、その代表者が預金の払い戻し手続きを行います。

代表者を定めるには、まず遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、誰が相続人であるか、誰がどの財産を相続するのかといったことを明記します。そして、預金の払い戻しについては、代表者である相続人が行う旨を記載します。

預金の払い戻し手続きでは、遺産分割協議書、故人の出生から死亡までの戸籍謄本、代表相続人の印鑑証明書などを金融機関に提出します。金融機関によっては、さらに追加書類を求められることもありますので、事前に確認しておくとスムーズです。

不動産の相続登記(名義変更)

不動産の名義変更、つまり相続登記は、遺産分割協議が整ったら速やかに行うことが大切です。なぜなら、名義変更をしないで放置しておくと、売却や担保設定などの手続きができないだけでなく、相続人が亡くなった場合、さらに相続人が増えて手続きが複雑になってしまう可能性があるからです。

相続登記の手続きは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や住民票除票、固定資産評価証明書など、多くの書類を揃える必要があります。 また、遺産分割協議書の作成も必要です。これらの手続きは複雑で専門知識も必要となるため、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士は、書類収集や遺産分割協議書の作成サポート、法務局への提出手続きなどを代理で行ってくれます。

相続登記には、登録免許税などの費用がかかります。費用は、不動産の評価額によって異なりますが、特例措置により免税される場合もございます。

相続登記は複雑な手続きではありますが、専門家のサポートを受けながら、適切に進めていきましょう。

固定資産税の納税義務者

固定資産税の納税通知書は、毎年4月頃に送られてきます。この通知書は、1月1日時点の不動産所有者宛てに発送されるため、もしその年の間に所有者が亡くなった場合は、故人の名義で届くことになります。

もちろん、故人が亡くなった後も固定資産税の支払いは必要です。この場合、相続人が故人に代わって納税することになります。ただし、相続人が複数いる場合は、誰が納税の責任を負うのか、また、どのように納税すればいいのか迷ってしまうかもしれません。

そこで便利なのが「相続人代表者指定届」です。この届出を市町村に提出することで、相続人のうちの一人を代表者として指定し、納税通知書を代表者宛てに送付してもらうことができます。相続人代表者は、あくまでも納税通知書の受取人となるだけであり、固定資産税を全額負担する義務を負うわけではありませんのでご安心ください。

その他の相続手続き

相続では、遺産分割協議がまとまったら、預貯金の解約や不動産の名義変更など、様々な手続きが必要です。

例えば、故人の所有していた自動車がある場合は、速やかに名義変更手続きを行いましょう。名義変更手続きは、管轄する運輸支局で行います。必要書類としては、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書などが必要です。

代表相続人には誰がなればいい?

遺産分割協議や相続手続きにおいて中心的な役割を担う代表相続人。この役割に適任者は誰なのでしょうか?法的に定められた資格や年齢、性別による優先順位はありません。重要なのは、相続人全員にとってより良い選択をすることです。

例えば、話し合いで意見をまとめるのが得意な人や、手続きに時間や労力を割ける人が適任と言えるでしょう。また、他の相続人とコミュニケーションを密にとり、こまめに情報共有できることも重要です。さらに、相続財産に関する知識がある程度あると、よりスムーズに手続きを進められます。

大切なのは、誰が代表相続人にふさわしいか、相続人全員でよく話し合い、納得した上で決めることです。

責任感が強く、信頼のおける人

故人の預金は、一旦、代表相続人の口座に振り込まれます。これは、銀行が全ての相続人と個別にやり取りをすることが困難なためです。そのため、代表相続人は、預かったお金を他の相続人に分配する責任を負います。

このような重要な役割を担う代表相続人には、お金に関する誠実さや、遺産分割協議をスムーズに進めるためのコミュニケーション能力が求められます。そのため、相続人全員が信頼できる人を選ぶことが大切です。

相続手続きは、単に遺産を分配するだけではありません。決められた期限内に、様々な手続きを進める必要があります。例えば、相続税の申告は、相続開始を知ってから10ヶ月以内に行わなければなりません。また、不動産の名義変更などの手続きも、放置しておくと後々トラブルの原因になりかねません。

こうした手続きは、期限内に正確に進めることが重要です。期限を守れなかったり、誤った手続きをしてしまうと、相続人全員に迷惑がかかってしまう可能性もあります。場合によっては、金銭的な損失を被る可能性さえあります。

そのため、相続手続きを円滑に進めるには、期限への意識が高く、正確に手続きを進められる責任感の強い人が、代表相続人として適任と言えるでしょう。周囲とのコミュニケーション能力も求められます。

手続きの時間が取れる人

相続手続きは、金融機関や役所への手続きが必要となり、これらの多くは平日の日中にしか窓口を開いていません。相続に強い弁護士や税理士といった専門家も、同様のスケジュールで業務を行うことが一般的です。そのため、相続手続きを進めるには、平日の日中に動ける時間に融通がきく人が適任と言えるでしょう。

なお、相続手続きは煩雑であり、責任も重いため、時間があっても高齢や病気などで体力に自信のない方は代表相続人にならない方がよいかもしれません。適当な代表相続人がいない場合は、遺産整理を専門とする司法書士などの専門家に手続きを任せることも検討しましょう。

相続人代表者指定届とは?

相続開始後、相続人が特定できない場合、固定資産税の納税通知書などの送付先が不明確になってしまいます。このような事態を避けるため、市町村は、亡くなった方が所有していた不動産を管轄する役所から「相続人代表者指定届」の提出を促す場合があります。

例えば、被相続人が所有していた土地や建物の所在地を管轄する市町村役場の税務課などが、相続人に対して届出を求めることが一般的です。

この場合、相続人代表者指定届は、対象となる不動産に居住している相続人に送付されます。もし、誰も居住していない場合は、同じ市町村に居住している相続人に送付されるケースが多いようです。

相続人代表者指定届と現所有者申告書について

相続人代表者指定届は、提出が義務付けられている書類ではありません。そのため、提出しなかったとしてもペナルティは発生しません。

ただし、相続人代表者指定届と「現所有者申告書」は、一体となっている書式であることが多いです。この場合、注意が必要です。なぜなら、現所有者申告書は、名義変更をしない場合でも、自分が現所有者であることを知った日から3ヶ月以内に提出することが地方税法により義務付けられているからです。これを怠ると、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。

相続手続きでは、他にも期限が定められているものが多くあります。スムーズに手続きを進めるためにも、期限内に必要な書類を提出できるよう、余裕を持って準備を進めるようにしましょう。

固定資産税の納税義務者について

固定資産税の納税義務について、誤解されている方がいらっしゃるかもしれません。市町村から相続人代表者指定届を受け取った方や、相続人代表者になった方だけが、故人の所有していた土地や建物の固定資産税を全額負担する義務を負うわけではありません。

固定資産税は、原則として相続開始時に故人が所有していた財産を相続した方が、その相続分に応じて納税する義務を負います。例えば、1,000万円の評価額の土地を相続した場合、法定相続人が2名であれば、それぞれ500万円分の固定資産税を負担することになります。

ただし、相続人全員の合意があれば、負担割合を変更することも可能です。また、相続放棄をした場合は、その方が納税義務を負うことはありません。

相続放棄をした場合

相続放棄とは、故人の財産を相続しないという手続きのことです。相続放棄をする場合は、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出する必要があります。

相続放棄は、相続開始を知った日から3ヶ月以内に行わなければなりません。相続放棄の手続きは、相続人それぞれが行う必要がありますが、代理人がまとめて手続きを行うことも可能です。

相続放棄をした場合、すでに提出した届出に関する手続きが必要となるケースがあります。例えば、相続人代表者指定届が送られてきたものの、その後で相続放棄をした場合です。この場合は、家庭裁判所から送られてきた相続放棄申述受理通知書、または相続放棄申述受理証明書のコピーを添付し、自分が相続放棄をした旨を市区町村役場に届け出ましょう。

相続放棄をした人が相続人代表者になることはできません。なぜなら、相続放棄をした人は、初めから相続人ではなかったとみなされるからです。そのため、他の相続人を代表者として選任する必要があります。なお、相続放棄をした場合、不動産を取得しないため、固定資産税などの負担もありません。

不動産の名義変更

不動産の名義変更を伴う相続手続きは、段階を踏んで進める必要があります。

遺産分割協議が整い、相続人代表者指定届や現所有者申告書を提出したとしても、それはあくまでも相続手続きの第一歩。 法律上、被相続人の不動産を取得したことを証明し、自分の名義にするためには、法務局において相続登記の申請を行う必要があるのです。

相続登記の手続き自体は、司法書士などの専門家に依頼することも可能です。ただし、登録免許税や司法書士への報酬などの費用が発生することを覚えておきましょう。

遺産分割協議書には代表相続人の記載を忘れずに

遺産分割協議書には、預貯金の解約や不動産の名義変更など、遺産分割協議の内容を実現するために行う手続きを誰が担当するかを明確に記載する必要があります。

特に、預貯金の解約手続きは、代表相続人が金融機関に指定された口座の全額を一括して受け取り、その後、自身の口座を経由して各相続人の相続分を分配するのが一般的です。これは、金融機関側が、相続人全員が揃って手続きを行う場合の手間を省くために、このような方法をとることが多いからです。

しかし、この方法では、一見すると代表相続人が一度全ての財産を受け取ったように見えるため、後々、税務署から相続人間での贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる可能性も否定できません。このような事態を避けるため、遺産分割協議書には、代表相続人が相続人全員を代理して預貯金の解約手続きを行うことを明記しておくことが重要です。

具体的には、以下のような文言を記載しておけば、誤解が生じる心配もなくなります。

「相続人○○を代表相続人と定め、代表相続人は本遺産分割協議書記載の一切の手続きを行う。預貯金等の払戻金は代表相続人が指定する口座に振り込むものとし、代表相続人は、各相続人の相続分を各相続人が指定する口座に振り込む。なお、振込時の振込手数料は、代表相続人以外の相続人が各自負担する。」

相続手続きのご依頼は司法書士などの専門家へ

相続は、誰にとっても人生で何度もある経験ではありません。手続きも複雑で、期限内に書類を揃えたり、遺産分割協議書を作成したりと、慣れない作業に戸惑う方も多いのではないでしょうか。

そのような場合は、無理に自身だけで手続きを進めようとせず、相続に精通した専門家に相談することをおすすめします。遺産の評価や相続税の申告は税理士に、不動産の名義変更や遺産分割協議書の作成は司法書士に依頼することで、手続きがスムーズに進みます。

もちろん、専門家への報酬は発生しますが、結果的に時間と労力を節約でき、余計なトラブルを避けることにもつながります。専門家のサポートを有効活用することで、相続人の方々の負担を軽減し、安心して手続きを進めることができます。

もし相続手続きで悩まれている場合は、シアエスト司法書士・行政書士事務所にお気軽にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました