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自筆証書遺言が使えない場合はどうする?司法書士が教える注意点

自筆証書遺言は、その性質上、作成時に専門家のチェックを受ける機会が少なく、誤った書き方をしてしまう可能性が高いです。せっかく遺言書を作成しても、それが原因で相続で揉めてしまったり、あなたの想いが正しく伝わらない可能性もあります。

例えば、「全財産を妻に相続させる」といった記載の場合、具体的にどのような財産を指すのかが曖昧なため、解釈をめぐって争いになる可能性があります。また、「長男には家を、次男には預貯金を相続させる」といった場合でも、不動産の評価額と預貯金額のバランスによっては、不公平とみなされる可能性も考えられます。

さらに、遺言書に日付を記載していない場合や、訂正箇所に署名や捺印がない場合も、無効と判断される可能性があります。自筆証書遺言は、民法で定められた方式に厳格に従って作成しなければなりません。少しでも形式に不備があると、あなたの大切な想いが実現されない可能性もあるのです。

自筆証書遺言が使えない場合は遺産分割協議を

自筆証書遺言は、費用をかけずに故人の意思を残せる反面、要件を満たしていないと無効になってしまう可能性も孕んでいます。せっかく残してくれた遺言が無効となれば、故人の思いも叶わず、残されたご家族も悲しむことになってしまいます。

そのような事態を避けるために、有効な自筆証書遺言を作成するには、民法で定められた方式に従う必要があります。具体的には、全文を自署すること、日付と氏名を記載すること、押印することなどが挙げられます。これらの要件を一つでも満たしていない場合、自筆証書遺言は無効になってしまいます。

もし、自筆証書遺言の内容に不備や不安要素がある場合は、無理に自筆証書遺言に従って遺産分割を進めるのではなく、相続人全員で話し合い、遺産分割協議を行うという選択肢もあります。

遺産分割協議とは、相続人全員が、誰がどの財産を取得するかを話し合って決定する手続きです。遺産分割協議が成立すれば、故人の遺志や家庭の事情などを考慮した柔軟な遺産分割を行うことができます。

遺産分割協議を選択する場合には、相続人全員で遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、遺産分割の内容や各相続人の署名押印が必要となります。作成した遺産分割協議書は、不動産の名義変更などの際に必要となる重要な書類となりますので、大切に保管してください。

遺産分割協議は、相続人間における紛争を防ぎ、円満な相続を実現するために非常に有効な手段です。専門家のアドバイスを受けることで、よりスムーズかつ確実な遺産分割を進めることができます。

法律専門職が関わっていない自筆証書遺言は注意

相続の現場では「遺言書があるから安心」と思いきや、逆にトラブルになってしまうケースが後を絶ちません。その多くは、専門家のアドバイスを受けずに作成された「自筆証書遺言」によるものです。これまで数多くの相続のご依頼を受けてきましたが、完璧な自筆証書遺言に出会ったことは一度もありません。必ずと言っていいほど、法的な不備が見つかるのです。

例えば、財産の記載漏れや曖昧な表現は、相続人間で争いが起こる火種となります。また、日付や署名が抜けている、訂正方法を間違えているといった形式的なミスは、遺言書そのものを無効にしてしまう可能性も孕んでいます。実際に、このような不備が原因で、せっかくの遺言書が無効とされ、相続人が望まない遺産分割が行われてしまうケースもありました。

「自分で書いた遺言書が、なぜこんなにも大きな問題を引き起こすのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。それは、遺言書には法律で厳格なルールが定められているからです。専門的な知識がないまま、自己流で作成すると、意図せずこれらのルールに抵触してしまう可能性が高くなるのです。

「それなら、遺言書は残さない方がマシなのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、遺言書がない場合、法律で定められたルールに従って遺産分割が行われるため、必ずしも自分の想いが叶うとは限りません。残された家族が、遺産を巡って揉め事を起こしてしまう可能性も否定できません。

遺言書は、あなたの大切な想いを未来へと繋ぐための、とても重要な役割を担っています。そのためにも、専門家の力を借りて、法的に有効な遺言書を作成することが重要です。公正証書遺言であれば、公証人という法律の専門家が作成に関わるため、不備や無効のリスクを大幅に減らすことができます。

自分自身の手で、家族に安心と未来を託せるよう、ぜひ専門家への相談をご検討ください。

法務局で保管される自筆証書遺言なら安心か

2020年から始まった自筆証書遺言の法務局保管制度。

遺言作成をより身近にするための国の施策として、遺言書の作成を検討する方が増えているようです。しかし、この制度は、あくまで法務局が遺言の内容を審査するのではなく、形式的な要件を満たしているかをチェックして保管するだけの制度です。つまり、内容に不備や問題があっても、形式が整っていれば受理されてしまう可能性があります。

例えば、財産の記載に誤りがあったり、遺言の内容が曖昧で相続人間で解釈が分かれるような場合でも、法務局は訂正や助言を行わずに保管してしまうのです。結果として、一見有効な遺言書のように見えても、実際に相続が発生した段階で、その内容が争いの元となってしまう可能性も否定できません。

遺言書は、あなたの大切な財産を、あなたの意思で、大切な人に託すための大切な手段です。保管制度の利用は、遺言書を安全に保管できるという点でメリットがありますが、内容の確認をおろそかにしてはいけません。

専門家である弁護士などに相談し、内容に不備がないか、本当にあなたの意思が反映されているかをしっかりと確認することが重要です。遺言作成は、人生の締めくくりを考える大切な機会です。安易な気持ちで作成するのではなく、将来を見据え、慎重に進めていきましょう。

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