建設業に携わる場合、建築一式以外の工事では、
請負金額が1件500万円(税込)を超える工事であれば建設業許可を取る必要があります。
建設業許可は2つの一式工事と27の専門工事に分かれており、
許可を取る場合はどの業種を取得するか理解することが大切です。
今回は、多くの方が勘違いしやすい「一式工事」や、土木一式工事と建築一式工事との違い、一括下請負(丸投げ)の注意点をまとめました。
建設業の新規許可取得をお考えの方の参考になりましたら幸いです。
建設業許可の一式工事とは?
まず、建設業許可の一式工事とは、「大規模、かつ施工内容が複雑な工事を総合的な企画・指導・判断・調整のもとに行うもの」。
一式工事では、主に施主から元請けとして依頼を受け、専門工事の業者の監督やマネジメントをします。
そして専門工事は、大工工事・左官工事・屋根工事など、業種が細かく定められているもの。
そのため、複数の専門工事を扱われている場合、いくつもの専門工事の許可が必要になる可能性があります。
ここで勘違いしやすいのは、「一式工事の許可を取れば、専門工事の許可がなくてもOK」ではないという点。
建築一式工事や土木一式工事は、それさえもっていればすべての工事が請け負えるオールマイティーの許可ではありません。
もし500万円(税込)以上の専門工事を請け負う場合、一式工事の許可とは別に、該当する専門工事の許可を受ける必要があります。
もし単独で専門工事を請け負う可能性があるのであれば、専門工事の許可をご取得ください。
一式工事と専門工事のどっちを取ればいいか分からない?
一式工事と専門工事の違いが分かっても、工事内容によってはどちらを取得すればいいか分からない場合があります。
許可の取り直しには時間や費用がかかりますので、誤った許可の取得は避けたいものです。
まず一式工事として許可を取るのは、専門工事として施工することが困難な大規模・複雑な工事。
そのため、複数の専門工事が必要となる工事を請け負っても、個別の専門工事として施工できる場合は一式工事には該当しません。
なお、専門工事として施工することが困難・大規模・複雑であるかは、判断が難しいところです。
例えば、マンション等の大規模修繕は、必ずしも建築一式工事に該当しません。
例えば外壁修繕が主であれば、建築一式工事ではなく塗装工事や防水工事として請け負います。
また、宅地造成工事は、舗装や道路の整備等をまとめて請け負う場合は土木一式工事に該当しますが、
掘削や盛土のみの場合はとび・土工工事の範ちゅうとなります。
自社で請け負う工事がどの業種に該当するかは、自治体などに問い合わせて確認されることをお勧めします。
土木一式工事と建築一式工事の違いとは?
次に、土木一式工事と建築一式工事の違いはどういったものでしょうか。
土木一式工事では、総合的な企画、指導、調整のもとに「土木工作物」を建設します。
土木工作物とは、人為的に土地に固定して設置された物を指し、例えばダム・トンネル・橋・高速道路・土地造成など。
そして建築一式工事では、土地に固定されている工作物のうち、「屋根及び柱もしくは壁を有するもの」を扱います。
具体的な建築一式工事の例としては、一棟の住宅建設等の請け負いや、建築確認を必要とする増改築の工事など。
その他の違いとしては、土木一式工事であれば、請負金額が1件500万円(税込)を超える工事であれば建設業許可取得の対象となります。
しかし、建築一式工事では、請負金額が1,500万円(税込)未満の工事か、請負金額に関わらず木造住宅で延べ床面積が150㎡未満の工事であれば許可は不要です。
なお、建設業者が建設業の許可を受け、建築工事の設計や工事監理等の業務を行う場合、
規模により一級(二級)建築士事務所、木造建築士事務所の都道府県知事登録が必要となりますのでご注意ください。
一式工事の一括下請負(丸投げ)は禁止されています
一式工事は施主から依頼を受けた元請けが行うことが想定されており、一式工事を一括して下請けに出すこと(丸投げ)は禁止されています。
その理由は、建設工事の施主(発注者)は元請けを信頼して工事を発注していることが通常のため、一括下請負は施主の信頼を裏切ることになるため。
そのため、元請け業者から下請けに出される工事は、一式工事ではなく、27種の専門工事のいずれかとなります。
ただし、施主の書面による承諾がある場合、「公共工事」や「民間工事における共同住宅の新築工事」を除いて一括下請負が可能です。
もし違法に一括下請負を行った建設業者に対しては営業停止等の処分がくだされますので、ご注意ください。
以上、建設業許可の一式工事や、土木一式工事と建築一式工事の違いでした。
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